壮大なプレゼント③

俺は欠片の勇者グランド。

欠片の勇者の使命は【時空のかけら】を護ること、それだけ。

その為に旅を続けている…今日も眠る場所は、その日辿り着いた宿屋だ。



「疲れた疲れた、とっとと風呂入って寝よ」


湯船に浸かってボーっとしていると…脱衣所から物音が聴こえてきた。



「へへっ!侵入成功〜♪アイツが風呂に入ってるすきに時空のかけらをもらっちゃおっと……荷物よりも服の中が怪しいもんな、まずは上着のポケット…ってアイツこんな派手なパンツ履いてんの?だっさぁ〜」


「人のパンツをジロジロ見るな」


「うわぁぁぁぁぁ!!!!!風呂場から素っ裸の露出狂が出てきたぁぁ!!!」

「声でけぇよ!!つーか誰が露出狂だっ!!下にタオル巻いてんだろうが!!!」



このガキは時空のかけらを狙っている堕天使アージェント、性懲りも無くまた現れやがった…。


「タオル巻いたまま入ったの?撮影以外でそれやると怒られるぞ〜」


「何言ってんだお前……ん?今度は廊下のほうでバタバタ聴こえ…」


「お客様っ!!!どうされました!?」


「助けてくださいぃぃ!!ここに素っ裸…もが!」



このバカに余計なこと言わせてたまるか。


「あの、お客様?」


「すみませーん。今着替え中なんで開けないでほしいなー」

「し、失礼しました!ですが先ほどの悲鳴は…」

「連れが酔っ払って奇声あげたんです。すぐに黙らせますんで気になさらないでください」



「まったく面倒掛けやがって……そもそも風呂で素っ裸なのは当たり前だ!」


「ふえ〜ん!!タオル一枚の変態に押さえつけられたぁ! もうお嫁に行けない〜!」


「おいふざけんな。てめえは両性体の堕天使だからオスもメスもないだろ」


「動物みたいに言うなよ!それに、オイラが普通に男だったとしたらアンタ完全にアウトだよ?」


「は?何が?」


「だってだって、男が男を押さえつけるっていうヤバイ絵になるじゃん……それともアンタやっぱりホ」

「きざめ 秒針」

「痛ったたた!!! 何かチクチク刺さってるっ!!」


「【ルチルクリスタル】…欠片の勇者特有の攻撃術だ。1秒ごとに針が刺さるぞ、だいぶ手加減してるけど」


「変な技使うなよ!地味に痛くてやだぁ!!」


「なら早く退散しろ。着替えができねえ」


「覚えてろよぉ、今度会ったらアンタのパンツ……トランクスからブリーフにすり替えてやるぅぅ!!!!」




かけらを奪うことよりパンツが優先か…やっぱバカだなアイツ。