俺は欠片の勇者グランド。
欠片の勇者の使命は【時空のかけら】を護ること、それだけ。
その為に旅を続けている…今日も眠る場所は、その日辿り着いた宿屋だ。
「疲れた疲れた、とっとと風呂入って寝よ」
湯船に浸かってボーっとしていると…脱衣所から物音が聴こえてきた。
「へへっ!侵入成功〜♪アイツが風呂に入ってるすきに時空のかけらをもらっちゃおっと……荷物よりも服の中が怪しいもんな、まずは上着のポケット…ってアイツこんな派手なパンツ履いてんの?だっさぁ〜」
「人のパンツをジロジロ見るな」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!風呂場から素っ裸の露出狂が出てきたぁぁ!!!」
「声でけぇよ!!つーか誰が露出狂だっ!!下にタオル巻いてんだろうが!!!」
このガキは時空のかけらを狙っている堕天使アージェント、性懲りも無くまた現れやがった…。
「タオル巻いたまま入ったの?撮影以外でそれやると怒られるぞ〜」
「何言ってんだお前……ん?今度は廊下のほうでバタバタ聴こえ…」
「お客様っ!!!どうされました!?」
「助けてくださいぃぃ!!ここに素っ裸…もが!」
このバカに余計なこと言わせてたまるか。
「あの、お客様?」
「すみませーん。今着替え中なんで開けないでほしいなー」
「し、失礼しました!ですが先ほどの悲鳴は…」
「連れが酔っ払って奇声あげたんです。すぐに黙らせますんで気になさらないでください」
「まったく面倒掛けやがって……そもそも風呂で素っ裸なのは当たり前だ!」
「ふえ〜ん!!タオル一枚の変態に押さえつけられたぁ! もうお嫁に行けない〜!」
「おいふざけんな。てめえは両性体の堕天使だからオスもメスもないだろ」
「動物みたいに言うなよ!それに、オイラが普通に男だったとしたらアンタ完全にアウトだよ?」
「は?何が?」
「だってだって、男が男を押さえつけるっていうヤバイ絵になるじゃん……それともアンタやっぱりホ」
「きざめ 秒針」
「痛ったたた!!! 何かチクチク刺さってるっ!!」
「【ルチルクリスタル】…欠片の勇者特有の攻撃術だ。1秒ごとに針が刺さるぞ、だいぶ手加減してるけど」
「変な技使うなよ!地味に痛くてやだぁ!!」
「なら早く退散しろ。着替えができねえ」
「覚えてろよぉ、今度会ったらアンタのパンツ……トランクスからブリーフにすり替えてやるぅぅ!!!!」
かけらを奪うことよりパンツが優先か…やっぱバカだなアイツ。